【感想】映画「ルーム」を見て

映画「ルーム」を見た感想です.

【予告編(注:少しネタバレあり)】
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感想(ネタバレ無し)

この作品を気分が落ち込んでいるときに視聴するのはオススメしません.私は若干気持ちが沈んでいるときに見始めたのですが,途中でしんどくなり見るのを中断してしまいました.仕事で疲れていたり辛いことがあったりした人は,まず明るい映画を見て元気になりしょう!


それでは,ネタバレ無しで感想を書きます.

ストーリー構成

小さな部屋で暮らす親子(母・息子)のシーンから始まります.

ストーリーをうまく展開するための

  • 人物の性格の一貫性を保てていないと感じる箇所
  • ご都合主義的な場面

がありました.しかし,それは本作品のテーマではないと割り切って考えるべきでしょう.全体の流れからすればほんの一部分であり,気にならないと思います.

演技・演出

素晴らしいの一言です.「子ども」を主観とした「世界」の表現は見応えがあります.


また,主演のブリー・ラーソンが第88回アカデミー賞において主演女優賞を受賞するなど,素晴らしい評価をされています:ルーム_(映画):受賞


ストーリーと感想(ネタバレ有り)

以下ネタバレ有りの感想です.注意してください.

ストーリー

小さな部屋で暮らす親子(母:ジョイと息子:ジャック).子供の栄養状態や運動を気にする母親の様子から,子供が病気で外に出られない(日光を浴びることができない)のではないかと考えていました.

しかし,

  • 虫歯になっても医者に行く様子のない母親
  • 病気とは思えない元気な子供
  • 5歳の息子に,頑なに外の世界を教えない母親

の様子から,「なんか変だな」と感じ始めました.後に想像を絶する状況にあることが明らかになります.


実は,母親はたまに帰ってくる父親に誘拐・監禁されていたのです.

ある日,息子であるジャックが寒さで死んでしまったとして誘拐犯を騙し,助けを呼ぶことに成功します.

両親と再開する母:ジョイ.これからは,息子とともに家族と幸せな生活を送ることができると思っていました.しかし,

  • 誘拐犯との間にできたジャックを受け入れられない父親
  • ジョイの,自分が不幸にあってしまった理不尽さへの怒り

が原因で再開を果たした家族との関係が壊れてしまいます.同時に大切にしてきた息子:ジャックとの関係もおかしくなってしまいます.


そんな中,ジャックだけでも助けるよう犯人と交渉すべきだったのではないかと指摘され,自責の念に駆られたジョイは自殺未遂をしてしまいます.


ジャックは「世界」に適応しながらも,病院から帰ってこないジョイをずっと思い続けます.そして,再開したジョイとずっと一緒に生きていこうと決意します.「世界」は怖くもあるけれど,ジョイと2人なら大丈夫だと...


最後に,母親と5年間暮らした「部屋」を訪れ,2人で「部屋」に別れを告げるのでした.

感想

「脱出」してからがメイン:「部屋」から脱出するまでが約1時間.その後も約1時間の時間が割かれています.「脱出」だけで終わらないのが素晴らしいです.

誘拐犯の異常さ:誘拐犯は「人が動物を飼うような感覚で」親子を監禁していたように感じました.例えば次は,ある種のペットに対する人間の行為として理解できます:

  • 親子には最低限の生活を保証しています(食料・医薬品の供給など).
  • ジョイ(母親)がトイレの蓋で殴るなど反抗したにもかかわらず,生死に関わるようなひどい暴力を振るうことはありませんでした.
  • 息子に誕生日プレゼントを買ってきています.
  • 外に出ることだけは絶対に許しませんでした.

対象が人になると,こんなに残酷になるとは...


ジャックの演技:子供のジャックが行う

  • 病気のフリをするのを嫌がる場面
  • 死体のふりを嫌がる場面
  • 警察に保護された後に呆然としたまま(パニック状態で?)行う受け答え

などの演技が素晴らしかったです.

子供の捉える世界の美しさ:「部屋」からの脱出シーンで.緊張感のある場面と初めて見る外の世界の美しさが見事に融合されています.美しさ単体を描かないことが新鮮でした.

親子が抱き合う安心感:「部屋」から脱出したジョイとの再開,どれも安心できます.

演出の着眼点:自由になった後,はじめて見る階段がうまく登れないシーンの着眼点に驚きました.

違和感を感じた場面

上でも述べましたが,違和感を感じる部分はありますが本作品では気にすべきではないと思います.あくまで,「親子2人が世界を生きていく」ことが本筋でしょう.

また,単に想像の及ばない設定だったことが原因なのかもしれません.あるいは,見落としていただけで言及する場面があったかもしれません.

ジャックへ真実を告げてから脱出を試みるまでの時間の短さ:それまでは脱出する素振りを見せていなかったのに,電気が止まったことをチャンスと考えてすぐに行動を起こします.

母親が「部屋」から脱出するために,あらゆる手段を講じる場面:それまで大切にしてきた息子が泣きわめいて嫌がるにもかかわらず,無理を強いてしまうほどに態度が豹変してしまいます.死体のフリがバレたら殺されてしまうかもしれないのに,根拠もなく子供を励ます様子には違和感を感じました.

ジョイの言うことを聞く誘拐犯:ジャックの死体を丁重に扱うことを約束し,実行します.死んでいることを確認しないのは,ちょっとご都合主義かなと思います.捨てる直前に確認しようとしたのかもしれませんが...

ジャックのことを心配する通行人:ジャックが車から飛び降り,通行人とぶつかります.直後の誘拐犯の行動の異常さがうまく表現できていない感があり,逆に通行人が気にしすぎのようにも思えます.通行人が反応するのはジャックのHelp me!を聞いてからでも良かったかも.また,誘拐犯が車で去る様子をまったく気にしない点も腑に落ちません.

心をえぐる質問をするレポーター:ストーリー上,ジョイにショックを与える「何か」が必要でした.でも,これは...


吹替版もあります:

ルーム(吹替版)

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